2026年10月8日、東京・有楽町のヒューリックホール東京にて
「松原健之コンサートツアー2026」東京公演が開催された。
透き通るような歌声。
客席に広がる笑顔。
思わず吹き出してしまうような楽しいトーク。
そして、そのすべての根底に流れていたものは「愛」だった。
歌を愛する気持ち。
支えてくれる仲間への愛。
長い年月をともに歩んできたファンへの愛。
そして、今を懸命に生きている一人ひとりへの、さりげなくも深い愛。
この日のステージは、そんな松原健之の温かな心が、歌と言葉になって客席へ届けられた時間だった。
客席を見渡しながら、松原は何度も「ありがとうございます」と言葉にした。
忙しい中、会場へ足を運んでくれた人たち。
ステージを支えてくれるバンドメンバー。
照明、音響、舞台、撮影に携わるスタッフ。
日頃から応援してくれる関係者、先輩、友人。
松原の「ありがとう」は、決して決まり文句ではなかった。
目の前にいる一人ひとりの存在を確かめるように、その言葉を届けていた。
そして、
「この人生で、自分が中心になって歌を歌えているというのは、
本当に歌い手として幸せだなと思います」
と語った。
歌手として歌えること。
待っていてくれる人がいること。
拍手を送ってくれる人がいること。
そのすべてを当たり前とは思わない。
そこにあるのは、感謝という言葉のさらに奥にある「愛」なのだと思う。
人は、自分が大切にされていると感じた時、心が少し柔らかくなる。
この日の松原の言葉には、客席にいる一人ひとりを、
ちゃんと大切に思っていることが伝わる温もりがあった。
松原の愛情は、「応援してください」「また来てください」という言葉だけでは終わらない。
この日のトークの中で、松原の人柄をとてもよく表していた言葉があった。
物価高の話題になり、スーパーで白菜や椎茸の値段を見ながら買い物をしたという、
ごく普通の日常を話した松原。
そこから客席に向かって、
「コンサートに来るために、家庭の食卓のおかずを減らしたりしちゃダメですよ。
家庭円満が第一ですからね」
と語りかけた。
歌手なのだから、本当な
ら「またコンサートに来てください」と言いたいはずだ。
それでも、その前に考えるのはファンの暮らしだった。
無理をしてほしくない。
ちゃんと美味しいものを食べてほしい。
家族と笑って過ごしてほしい。
そして元気でいてほしい。
ファンを「自分を応援してくれる人」としてだけではなく、
それぞれに家族がいて、生活があり、喜びや悩みを抱えて
毎日を生きている一人の人として見つめている。
「愛」という言葉を使わなくても、そこには十分すぎるほどの愛があった。
それは、派手ではないけれど、とても深い愛の形だ。
長年の夢であるNHK紅白歌合戦の話になると、
真剣な夢さえも松原らしいユーモアに包まれる。
「生きているうちは無理かなと思っている方もいるかもしれませんけど(笑)、
なんとか皆さんが生きているうちに頑張りたい」
会場には大きな笑いが広がった。
けれど、その言葉をよく聞いてみると、とても温かい。
夢を叶えたい。
その姿を、自分だけで見るのではなく、
ずっと応援してくれた人たちと一緒に見たい。
だから、
「人生100年時代ですからね。
あと20年、30年、一緒に筋トレしながら元気に頑張りましょう!」
と笑顔で語る。
「これからも一緒にいてください」
その言葉を、松原らしいユーモアに包んで届けているようにも感じた。
でも、その言葉を聞いていると、なぜだか少し泣きたくもなる。
夢を叶えたい。
その姿を、ずっと自分を応援してくれた人たちにも見届けてもらいたい。
そして、それまでみんな元気でいてほしい。
「これからも一緒に歩いていきましょう」
そんな松原からのラブレターのようにも聞こえた。
歌手とファン。
応援する人と、応援される人。
それだけではない。
同じ時間を重ね、同じ夢を見ながら、一緒に年齢を重ねていく。
その関係には、長い年月の中で育ってきた家族のような愛情さえ感じられた。
この日のステージを支えたバンドメンバーとのやり取りにも、温かな愛があふれていた。
失敗談を笑いに変えたり、ちょっとしたドジをいじったり。
客席から見れば楽しいトークだが、その奥にあるのは、互いをよく知っているからこそできる信頼だ。
ギターを忘れて現場へ向かってしまったという木村大樹。
バイク事故からわずか数日後に演奏の仕事へ戻ったドラムの曽根未宇司。
娘の誕生日プレゼントを買い忘れていたことを思い出したの徳永希和子。
曲順を間違えた過去まで笑い話にされながら、“宣伝部長”として会場を盛り上げたベースの斉藤順。
そして、松原のデビュー当時から20年以上、
その歌をそばで支え続けてきたピアノ&バンドマスターの塩入俊哉。
それぞれの個性を紹介し、笑いながらも、その演奏への敬意を忘れない。
一人では、あのステージは生まれない。
歌う人がいて、その歌を受け止める演奏者がいる。
照明を当てる人がいる。
音を整える人がいる。
舞台を動かす人がいる。
そして客席で拍手を送る人がいる。
音楽は、一人では完成しない。
だからこそ松原は、周りにいる人への感謝を何度も口にするのだろう。
それは、仲間への愛そのものだった。
この日のステージでは、楽しい時間だけではなく、静かに心へ語りかける歌も届けられた。
松原の歌は、目の前にいる人だけに向けられたものではない。
被災地へ足を運び、歌を届けてきた活動についても触れた。
今、苦しい思いをしている人。
大切なものを失った人。
明日へ向かう力を探している人。
直接その痛みを代わることはできなくても、そばで歌うことならできる。
そして、遠くからその人の幸せを願うことはできる。
愛というものは、必ずしも「好き」という言葉だけで表すものではない。
静かな思いもまた、愛なのだと思う。
誰かの痛みに心を寄せること。
平和を願うこと。
「ひとりじゃないよ」と、歌で伝えること。
それもまた、ひとつの愛の形なのだと思う。
力強く引っ張るのではなく、静かに隣に座るような松原の歌声。
その優しさに救われてきた人も、きっと少なくないだろう。
もちろん、しっとりとした時間ばかりではない。
松原のコンサートには、思わず笑ってしまうような“素顔の時間”もたっぷりある。
この日は着物姿での歌唱に、
「急にドキドキ、ワクワクして、足がブルブル、ガクガクして(笑)」
と意外な緊張を告白。
客席からは笑いとともに、
「たけしー!」
という温かな声が飛ぶ。
さらに、コンサート前日に自転車で派手に転んでしまったという話まで披露した。
横断歩道の向こうにいた女性が、自分を気遣って
“見て見ぬふり”をしてくれたことを振り返り、
「痛いというより、恥ずかしかった(笑)」
と笑わせる。
そして最後には、
「ご先祖様や、いろんな人が守ってくれたのかな。“気をつけろよ”というシグナルだと思って」
と感謝に変えてしまう。
ちょっとした失敗も、恥ずかしかった出来事も、
最後にはみんなの笑顔に変わる。
ステージの上の人と、それを見つめる人。
そこには不思議なくらい近く、温かな空気が流れていた。
華やかなステージの上に立つ歌手でありながら、
話し始めればどこか身近で、親しみやすい。
そんな松原の人柄に、会場の空気も自然と柔らかくなっていった。
松原は、先輩歌手のコンサートへも足を運び、今なお学び続けているという。
客席を巻き込むステージ。
ペンライトやうちわで生まれる一体感。
その姿を見ながら、自分自身も、
「『松原健之』というジャンルを確立できるように頑張りたい」
と語った。
演歌とも違う。
歌謡曲だけでも語りきれない。
クラシカルな美しさも、フォークの温もりも持ち合わせるその歌声。
けれど「松原健之」というジャンルを形作っている一番大切なものは、
音楽の分類ではないのかもしれない。
誰かを思うこと。
それこそが、松原健之の歌に流れている「愛」なのではないだろうか。
歌の向こう側にいる人を思うこと。
誰かに届いてほしいと願うこと。
今日より少し元気になってほしいと願うこと。
その“人を思う心”こそ、松原健之の歌を唯一無二のものにしているように感じた。
ステージから松原が愛を届ける。
客席は拍手や笑顔、掛け声でそれを返す。
すると、その声を受け取った松原がまた笑顔になる。
その笑顔を見て、客席もまた嬉しくなる。
愛は、一方通行ではない。
与えたものが、形を変えて返ってきて、また次の人へと渡っていく。
この日のヒューリックホールには、そんな優しい循環があった。
松原が歌を届ける。
ファンがその歌を受け取る。
そして、その歌に元気をもらった人が、また誰かに優しくする。
もしかしたら、音楽の持つ力とは、
そんなふうに愛をつないでいくことなのかもしれない。
コンサートが終われば、それぞれの日常へ帰っていく。
仕事があり、家族がいて、悩みがあり、嬉しいこともある。
けれど、この日受け取った歌や言葉が、
ふとした瞬間に心を支えてくれることがある。
「無理をしないで」
「元気でいてください」
「また一緒に頑張りましょう」
そんな松原の言葉は、コンサート会場を出た後も、そっと心に残っていた。
愛とは、特別な日にだけ伝えるものではないのかもしれない。
相手を気遣う一言。
笑顔で交わす挨拶。
誰かのために歌うこと。
誰かの幸せを願うこと。
そんな小さなことの積み重ねが、人の心を温める。
この日の松原健之のステージには、そんな愛がたくさんあった。
歌への愛。
仲間への愛。
ファンへの愛。
そして、今日を生きるすべての人への愛。
会場いっぱいに響いた最後の拍手は、
「素敵な歌をありがとう」
という感謝とともに、
「また元気で逢いましょう」
という愛の言葉にも聞こえた。
コンサートが終われば、みんなそれぞれの日常へ戻っていく。
明日になれば仕事があり、家事があり、それぞれの生活が待っている。
楽しいことばかりではないだろう。
悩む日もある。
涙を流す日もある。
それでも、この日の歌や言葉をふと思い出した時、
「もう少し頑張ってみようかな」
「また松原さんの歌を聴きに行こう」
そう思えることがあるかもしれない。
それだけで、音楽は人の人生の一部になる。
松原健之がこの日届けた愛は、決して大げさなものではなかった。
「無理しないでね」
「ちゃんと食べてね」
「元気でいてください」
「また一緒に頑張りましょう」
そんな日常の中にある、小さくて優しい言葉だった。
けれど本当の愛とは、案外そういうものなのかもしれない。
歌を愛し、
仲間を愛し、
自分を支えてくれる人を大切にし、
遠くにいる誰かの幸せを願う。
その思いが歌となり、笑顔となり、
この日の客席へ届けられた。
またこの歌声に逢うために。
またこの笑顔に逢うために。
次に会えるその日まで、お互い元気でいよう。
● 新曲『愛が泣く 日本海』ミュージックビデオ
松原健之 クリスマスディナーショー2026
TAKESHI MATSUBARA
2026 12.16 wed.
[1st.show] open 1:30pm / start 2:30pm
[2nd.show] open 4:45pm / start 5:45pm
MEMBER
松原健之 (vo)
塩入俊哉 (p)
齋藤順 (b)
徳永希和子 (vln)
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