2026年10月12日、「安倍理津子 Birthday Dinner Show」が開催された。
華やかな衣装、美しい歌声、そして次々と登場するゲストたち。
けれど、この日のステージで何より心に残ったのは、
安倍理津子の周りに自然と集まる人たちの笑顔と
長い年月をかけて結ばれてきた、人と人との絆だった。
歌えば華やかに。
話せば親しみやすく。
そして誰かのことを語る時には、そこに必ず温かな愛情がある。
笑い声の絶えないステージの奥には、
安倍理津子という一人の歌手が大切にしてきた「人への思い」が、優しく流れていた。
司会を務めた川田恋との掛け合いは、
まるで長年の友人同士の会話をそのまま覗いているよう。
ゲストの鶴岡ライアンが登場し、
「父がイラン人で、母が日本人です」
と自身のルーツを紹介すると、
川田はすかさず、
「私もハーフなの。鹿児島と熊本のハーフ(笑)」
安倍から、
「どっちでもいいわ!(笑)」
とツッコミが入り、会場は大笑い。
194センチほどあるという鶴岡の身長についても、
「2メートル?(笑)」
と茶目っ気たっぷりに話を広げていく。
ゲストを紹介する場面でありながら、決して堅苦しくならない。
初めてその場所に立つ若い歌手にも自然と声をかけ、客席に向かって、
「これからぜひ応援してくださいね」
と背中を押す。
そこには、自分だけが輝くのではなく、
同じステージに立つ人にも光が当たってほしいという、
安倍らしい優しさが感じられた。
安倍理津子といえば、数多くの歌手や俳優たちとのデュエットでも知られている。
「札幌シティライト87」の話題では、俳優・誠直也とのレコーディング当時の思い出も飛び出した。
これまでさまざまな相手と声を重ねてきた安倍。
デュエットとは、一人では完成しない歌だ。
相手の声を聴き、自分の声を重ねる。
相手がいるからこそ生まれる世界がある。
考えてみれば、それは安倍理津子自身の歌手人生にもどこか重なる。
一人で歩いてきたのではない。
歌手仲間がいて、スタッフがいて、応援する人たちがいる。
長い年月の中で出会った一人ひとりとのご縁が、
今の安倍理津子をつくってきたのだろう。
そして、この日のトークの中でも特に心に残ったのが、
安倍が母親について語った時間だった。
お酒と美味しいものが大好きだったというお母様。
2023年、大腸の手術を受けることになった時、安倍は、
「お母さん、またお酒が飲めるかもしれないから手術する?」
と尋ねたという。
するとお母様は、
「うん」
と答えた。
深刻な出来事であるはずなのに、その思い出を語る安倍の言葉には、
悲しみだけではなく、どこか微笑ましい温もりがあった。
手術後、面会に行き、
「お母さん、私は誰?」
と尋ねると、
機嫌のいい日は、
「りつこちゃんなんじゃない?」
そして機嫌が悪い時には、
「知らない!」
と言われてしまうこともあったという。
そんな母娘のやり取りを笑顔で話す安倍。
その表情からは、長い人生を一緒に歩んできた母への深い愛情が伝わってきた。
家族だからこそ笑えること。
家族だからこそ、何気ない一言まで愛おしいこと。
「できる限り、これからもお母さんに会いに行こうと思っています」
その言葉は、とても静かだった。
けれど、だからこそ胸に残った。
大切な人と過ごせる時間は、決して当たり前ではない。
会える時に会う。
声を聞ける時に聞く。
一緒に笑える時に、たくさん笑う。
安倍がお母様について語る姿は、客席にいる一人ひとりにも、
それぞれの大切な人を思い出させてくれるようだった。
そして安倍は、会場に集まったファンへも感謝を伝えた。
「こうやって、いつも皆さんに来ていただける。
今日のこの日のような皆さんは最高です。感謝です。ありがとうございます」
長く歌い続けるということ。
それはきっと、決して平坦な道ではない。
嬉しい日もあれば、思うようにならない日もある。
それでもステージへ立ち続けられるのは、待っていてくれる人がいるから。
「また歌を聴きたい」と足を運んでくれる人がいるから。
その存在への感謝を、安倍は何度も言葉にした。
この日の最後に安倍理津子が選んだのは、デビュー曲「愛の絆」。
長い歌手人生を歩いてきた今、改めてデビュー曲を歌う。
若き日に歌った「愛」と、
さまざまな出会いや別れを経験してきた今歌う「愛」。
同じ歌であっても、そこに込められる思いはきっと違う。
お母様への愛。
支えてくれる仲間への愛。
長年応援してきたファンへの愛。
そして、歌そのものへの愛。
この日のすべてが最後の一曲へとつながっているように感じられた。
人と人が出会い、時間を重ねる。
笑ったり、時には心配したり。
それでもまた会いたいと思う。
そんな一つひとつの積み重ねこそが、「絆」なのかもしれない。
誕生日は、その人が生まれたことを祝う日。
けれど、この日の安倍理津子を見ていると、少し違った意味にも感じられた。
生まれてきて、
たくさんの人と出会い、
歌を歌い、
愛され、
そして自分も誰かを愛する。
その歩みを振り返りながら、
「出会ってくれてありがとう」
「支えてくれてありがとう」
と伝える日でもあるのではないだろうか。
ステージには笑顔があり、笑い声があり、歌があった。
けれどその奥にあったのは、やはり「愛」だった。
人を思う愛。
家族を思う愛。
仲間を思う愛。
そして、長い年月を共に歩いてきたファンへの愛。
最後に響いた「愛の絆」は、一曲のタイトルを超えて、
この日のディナーショーそのものを表しているようだった。
安倍理津子が長い時間をかけて結んできた、たくさんの愛の絆。
その輪の中で交わされた笑顔と拍手は、
誕生日を祝う何より温かな贈り物だった。
東京グランドホテル 2026年10月12日
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